大時化の夢


  波高10数メートル 2004年2月

 先週のいつだったか、久しぶりに調査船の夢を見ました。それなりにリアルな感じの夢が多いのですが、このときはそれはそれは見事な大時化。しかもあっという間に風が強くなって、みるみる海が真っ白になってゆく…。目の前に高い波の壁が立ちはだかって、命からがら非難する、そんな感じの夢でした。

 現実に、あっという間に大時化になって怖い思いをしたり、台風をかわし損なって海難一歩手前まで行ったこともありました。瞬間風速ではなく定常的に50~55ノット(25~30メートル)の風が吹くと、海面がすべて泡立ち、真っ白になります。海流と風向の関係により、三角波が複数方向から押し寄せたり、うねりが立って10数メートルの波になったりします。こういう時にできることといえば、波・うねりの方向に船首を向けて、ゆっくり進むことくらいです(船をつかせる、あるいは立てるといいます)。舵とエンジン(船速)を細かく修正しながらひたすら耐えるのです。恐ろしいのは日が暮れてから。それまで目視できていた波・うねりの方向が掴めなくなり、ややもすれば船体がねじれるような振動とともに大きく傾き、ものすごく嫌な音がします。たいていの時化には耐性がある船の人たちも、こうした時の音には反応し、おーっと声に出したりします。ある時、三陸沖で低気圧崩れの大時化に遭遇し、夜通しサーチライトを点灯してうねりの方向を見極め、難を逃れたことがあります(船の人たちには本当に感謝)。この船のサーチライトは気難しくて、うまく点灯しないこともあり、この時ばかりは幸運に恵まれたと思いました。

 覚悟を決めた大時化も、今となっては懐かしい思い出の一つです。現在はといえば、姿を変えた大時化に遭遇、いや仕事の海で遭難しかけているという意味ですが、こちらはいつ凪になるのか見当もつかず、毎日絶望の淵を航海しています。自分自身が大きな船になるしか解決策はなさそうですが、船齢50余年の相当な老朽船ゆえ、思うようには参りません。沈まぬことを祈るばかりです。

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Author:mesoplodon
子供の頃から「生き物」「乗り物」「化け物」好き。海やら街やらで写真を撮っています。

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